小さいときから考えてきたこと


黒柳徹子の本はどれも侮れない。言葉で聞いたらげらげら笑いそうな話の中にぐっと胸につまるものが入っているから。全く油断できない。ふんふんと軽く読んでいるとえらい目にあうから付箋をすぐにとりだせるようにそばにおいて読んでいた。
この表紙がまずいい。本人の写真の上にいわさきちひろのあの絵なんだもの。
子どもは小さいほど人間が一番大切で必要なものを持っていると言う。そして大きくなるにしたがってなくしていくと。
私は小さい頃の方が全力でやっていた。今はさぼることしか考えていない。手を抜くことしか考えない。いつからこんなに怠惰になったんだろう。いつからこんな自分に・・・なんでも全力でやる人が好きだ。自分もそうありたい。
小さい頃の黒柳さんのエピソードはどれも読みがいがある。そしてそれ以上に黒柳さんがコソボアフガニスタンに行ってきた時の話も。黒柳さんのようにさらりと大事なことを書いてくれるとさらりと読んでしまうのだが、内心、うわ、この国はこんなにひどいのかと初めて知らされることばかりで
日本の子供が、自分たちがどれだけ恵まれているのか改めて思わざるを得ない。それでも毎日、おいらは貧乏だ、税金が高すぎるとあれやこれや不平不満を漏らしているのだけど(笑)
どうしてこの本がこんなにしみてくるのだろうと考えると、全然、説教くさくないのだ。難しい言葉もない。小学生にも是非読んでほしいものだ。
そんな黒柳さんが子供に説教するという章がある。新幹線で泣き止まない赤ん坊に諭す黒柳さんの言葉がいい。もう一対一の対等な人間として私はあなたが泣き止まなくて本が読めなくて困ってるのなんて言うのが素晴らしい。
へりくだることも偉ぶることもない。
黒柳さんの母的存在、沢村貞子、兄的存在の渥美清の章もじっくりゆっくりと読んでほしい。