星を撒いた街

6月に海文堂でサインをいれて頂いた「星を撒いた街」上林暁傑作小説集(山本善行撰ー夏葉社)をやっと読了。上林暁の作品を初めて読んだが、じわりと心に染み入る小説だ。再読したくなる小説ってこういう本を言うのだと思う。帯に30年後も読み返したいとあるが、ホントにそうだなと感じた。これだけ一日に何百冊もの新刊が出る世の中で、再読したいと思わせる本はそうはない。
「病める魂」「晩春日記」この二つがやはり、強烈に印象に残る。なんだか読んでいて不思議なのだ。こういう文章を初めて味わう。これが美しい文章、名文ということだろうか。ガソリン・カアなど、時折、聞きなれない言葉がでてくるが、小難しいということではなく、すぅーっと物語に入っていける。
もっとこの人の文章を、小説を読んでみたいと思った。自分もこういう文章が書けたらなあと思う。難しい言葉でまどわすでもなく、じーんと心の中に入ってくる、そういう文章を書けるようになりたい。