花紋

これまた山崎豊子の傑作小説だ。「花のれん」以上に熱く激しく心揺さぶられた。突如、消息を絶った歌人御室みやじの生涯。吉村昭の小説のようにもう、これは絶対モデルがいるんだろうなと思いながら、ぐいぐい読み進んでいった。読後、俄然、この歌人のモデルは誰なのかということに興味がわいたし、知りたくて仕方がなくなる。それくらい入り込んでしまうのだ、この物語に。御室みやじの家が古風でもうしきたり重視のガチガチ地主なのだ。おまえの婿はわしらが選ぶと家のじいさまから親父がもう、しゃしゃりでて、相手に極秘で重箱の隅をつつくような綿密な調査をするのだ。そううざい、じゃかしいの一言に尽きるんだわ(おい)
こんな家に生まれた跡取り娘となるともうねぇ、恋愛も自由じゃないわな。
この家がどんだけひどいか、そして御室みやじが唯一、魂かけて愛した男とは誰なのかじっくり読んでほしい。