BOOK THE KNIFEという面白いリトルプレス

さて、レポショップで売れに売れたこの冊子。広げると一枚のポスターになる。ボートハウスの写真があり、裏を読まなくても活用できるリトルマガジン(笑)だが、読まずにすますなまけものではない。注文しといて読んでないんかいとそんなオオボケはしないぞ。
読んでみた。いや、まず読むまでが大変で、横84センチ、縦118センチもあるのだ。
折りたたんでいる地図を思い浮かべてもらいたい。折り目をまたいで、縦横無尽、時には斜めにまるで渋谷のスクランブル交差点のごとく、整然と文字が並んでいる。気合入れて読めよといわれてるような気がするくらいだ。そうよびかけるくらいだから、読み応えのある記事がずらり。執筆陣の名前がこれまた小さいので、気になるタイトルから攻めていくことにした。
字は小さいし、いろんな方向へまたがって記事が並んでいるから読みづらいが、一旦、読み出すと、ひっくり返してでも読みたくなる。ドラマの続きより気になる。この折り目あんまり広げたくないなあ、と思いながら(きれいに元通りにする自信がない・・)上下左右を動かして読んでいく。
早速、ううむ、面白いじゃんとうなる記事にぶつかる。松浦弥太郎の記事にでてくるサンドイッチのレシピだ。読んだ人はたいがい、試すはず。レシピの挑戦率と成功率が数字ででるとまた面白いだろうな。
特に気に入った記事だけ紹介しよう。長浜氏「ノンフィクションと一生つきあいたい」ー最初の1行がもう、ひとめぼれ。「古い本が並んだ本棚のある生活は、いいと思う」ここだけ拡大コピーしようかしらんというくらい、ぐぐぐっとなまけものの心をわしづかみにしていく。彼は鎌田慧の本を紹介している。俄然、この本も読みたくなっていく。これがブックサーフィン。一期一会ならぬ一期一冊。こうやって読みたい本が掛け算でたまっていくのだ(笑)
お次は、佐伯誠のテキスト。ここにもでてくる「日月堂」ううむ、すごすぎる。一度、行って開いてなかったから是非、一度行ってみたい。さあ、次はどれを紹介しようかなと探すのが大変だ。切り取って、ばらばらに展示してやろうかなとふと、邪悪なアイデアがひらめいてしまうぞ。
あった、あった。これだ。内沼晋太郎はさすがだねえ。「鳥取の本屋と谷口ジロー鳥取といえば鳥取砂丘より私に言わせれば定有堂なのだ。これ、どこの本屋なんだろうなあ。本屋の経験のない本好きが30年前に開業して以来、地元住民に愛されているという伝説の本屋に鳥取県出身の谷口ジローが絡んでくる。
これだけでも買いたくなるでしょ、ならば古書ますく堂へ注文しよう!(笑)え?まだならない?ではこれでどうだ!
あえて執筆者を伏せておこう。タイトルは「樹の上か、水の上か」トムソーヤの冒険でツリーハウスに住む少年がいたのを思い出した。あなたならどっちを選ぶだろう。ここではボートハウス(正しくはハウスボートらしい)に住む面白い夫婦のお話。
このリトルプレス、細くながーーーく続いてほしいなと思う。執筆陣は毎回変わってもいいし、この人たちなら毎回、雑誌の形態を変えても不思議ではない。次はどんな手で驚かせてくれるか、楽しみにしたい。そしてこの本は切らしたくないなあと思う。