草子ブックガイド


活字のブックガイドは巷に多くある。が、漫画となると、思い浮かぶものがなかったが、遂に面白くてためになるのが出た。それがこれだ。
これ、すごいのは情報量も豊富で、物語としても面白いだけでなく、画がすごいんである。本棚の絵、本が何冊も描かれているコマをみるだけでも、本が好きなんだなあ、大切にしてるんだなというのが伝わってきて、しかもあったかーい気分になれるのだ。
アシスタントなしで一人で描かれているという作者の玉川氏。
漫画も文章も本来そうだよな。是非、このままのペースでやって頂きたい。
年に一度でいいので、単行本を出してくれれば、うれしい。
というくらい、この本を読んでたら、画の力にうならされるのだ。緻密で、細部まで丁寧に描かれ、相当、時間かかってるよな、これと思わずにいられない。
それに加えて、あの情報量なのだ。これって、文章だけでもブックガイドとして秀逸。
あぁ、もっと本が読みたいという気持ちにさせる。特にここでとりあげている数冊の本は読破して、そして、もう一度、草子ブックガイドを読んでみたい。
草子という本ばかり授業中でも読んでいるおとなしい中学生が主人公。彼女はいきつけの古本屋で万引きしては、感想を挟んでまた、そっと返しにくる。
彼女の感想が半端じゃない。読み込んで独特な感想を書いてくる。この感想を読むと、あぁ、いつかこの本を読まなきゃ、読みたいという気にさせられる。
草子の日常生活も平凡でなく、いろいろなことがおきる。父親と二人暮しだが、酒ばかり呑んで「おい、ちょっとしっかりしろよ」といいたくなる親父だ。
草子はというと少しずつ前進してきている。古本屋で働くことになり、ちょっとずつ新しい人間関係を築きつつある。ブックガイドというから、本の感想が単に並んでいるのかと思いきや、草子たちのドラマもきっちり描かれていて、これがまた、思わずぐっとこみあげたり、大変な漫画なのだ。
最初の本は「ロビンソン漂流記」ここで一番ぐっときたせりふが古本屋の店主の「ロビンソンは「おもしろい」をみつけることをやめなかったという一言。このロビンソンがどんなにすごい人だったかが、草子の感想文でわかり、おおお、こんな人だったのかと教えられた。
一番感動したシーンが、草子が司書教諭に言うこの一言
「あたしにはあたししかいない」と。誰かと比べて自分の生き方を捨てるなんてと
草子の強さ、決意みたいなものが垣間見える場面だった。
こんなに紹介されている本が読みたくなるブックガイドって、ないな。