ポエカフェ入門篇「酒」

14日日曜日に高円寺南口徒歩3分の「ペリカン時代」で行われた酒入門篇。
駅からほんと、近いのに、反対方向が阿佐ヶ谷だと地図をみて、思い込み、しばらく、中野方面を高架沿いに歩き、無駄に徒労して、ぴっぽさんにわからへん!とメールしたおばかです。親切なとある看板を持っていたお姉さんに阿佐ヶ谷はどっちですかと聞いて、解決したという・・・
入門篇といいつつ、テキストには魑魅魍魎な(?)酒飲み詩人がずらりと並び、「え、これ、全部ですか、師匠」なんて内心思いながらスタート。
酒篇とくればオーダーも酒に限ると思い、黄花秋桜(PIPPO)と命名されたこの場限定の綺麗な名前のアルコール度数控えめのカクテルを注文。
飲みやすく、これ、お酒かというくらい、控えめなカクテル(笑)飲んでいくうちに色が変わっていく。味のベースはマンゴー味。爽やかで実に飲みやすく、何倍でもいけそうなある意味危ないジュースである(笑)もうひとつ、限定で用意されたのが、なんとも鮮やかな緑色のアクアサンダー(名づけて魚雷サンダー)お酒の強い人向けに魚雷さんをイメージして作られたカクテル。これも飲めばよかったなあ。
会場には15人くらいが所狭しと座り、自己紹介から始まっていく。お酒の失敗談を披露せよというミッションがぴっぽ団長から下る。

ポエカフェ36回目の本日はとあるところからの撮影つき。
日本の詩人だけではなく、中国やら西欧やら世界のあちこちから酒の詩人が召集される。まるでWBCだ(笑)
日本代表は草野心平萩原朔太郎中原中也田村隆一黒田三郎などなど。
中国は陶淵明李白など。アラブ代表はアブー・ヌワース。ペルシャ代表はペルシャダヴィンチといわれたらしいオマル・ハイヤーム
ロシアはプーシキンスコットランドはバーンズ。フランスはヴェルレーヌボードレールランボー。ドイツはノヴァーリスゲーテ、ハイネ、ヘッセなど。
最後にアメリカ代表ブコウスキー、ヒューズ、ブローティガン
勿論、テキストに掲載されたこれらのすごい詩人を全部消化できなかったが、それだけ、いかに酒と詩人という結びつきが強いかを実感させられもした。
魚雷さんの声が聞こえるかなと一人、余計な心配をしていたのだが、マイクとそして、なんと言ってもお酒という強い味方を得て、それも杞憂だった。ポエカフェ中にゲストが「角、水割り!」なんてマイクで言うんだから(笑)
お酒の入った魚雷さんはしらふのときよりも10倍饒舌である。ただでさえ、博覧強記なお方なのだ。草野心平の話題になったとき居酒屋「火の車」の話になったときもぴっぽさんとぽんぽん、会話していて、何でもしってるよ、この人と改めて実感したものである。しかし、「火の車」の話がでて、懐かしい!ぴっぽさんはこの居酒屋の板前が書いた本も持ってきていて、おお、これが噂の火の車(笑)と思いながら眺めていた。草野心平は経営能力はなかったけど、彼の居酒屋は有名で、作家など著名人が集まった。文壇サロンとしての機能を十二分に果たしていたのだろう。
心平は金のない詩人などには面倒見よく、食べさせるが、気に入らないお客には「金いらんから、帰れ」なんて追い返したそうだ。そんな彼だが、若い人の才能を見抜くのは上手だったという。しかし、お客さんにお金かりてお酒調達なんて・・・(笑)
今までにポエカフェで聞いたことがちょくちょく、でてきて、いやぁ、うれしかった。
萩原朔太郎が夜、手品の練習をしていたネタもでた!更に知らないネタまで魚雷さんが教えてくれた。当時、宇野千代がモガで流行の先端を走っていた。朔太郎の妻がそれをみて、真似をする。そして、朔太郎の妻は後に朔太郎から去っていく。
朔太郎大好きの室生犀星がそれを知り、「おまえのせいで、朔太郎の嫁がああなった」と宇野千代を叱るというエピソードがあったとは・・・犀星らしいなあ。
石川啄木には金田一京助がいて、中原中也には小林秀雄という友がいた。
中也の才能に嫉妬した秀雄。尊敬と劣等感がないまぜになり、一人の女性、長谷川泰子を巡って、もつれあう。
「乃木坂倶楽部」の貴重な萩原朔太郎の朗読音源も聞かせてもらう。
まるでお経を読んでいるようだった。
中原中也の「宿酔い」のこのフレーズがいい。
千の天使がバスケットボールする。
魚雷さん曰く、ブルーハーツ真島昌利がこのフレーズの入ったTシャツを着ていたというから、おおお、みたかったと思ったずら。
魚雷さんの好きな批評家が中村みつお。彼はなんと、中原中也にビール瓶で殴られたことがあるという。もうそれだけで、すごいよね。勿論、人をビール瓶で殴るなんてもってのほかだが。ランボーも暴れまくって居酒屋から出入り禁止!といわれてたらしいが・・・
尾形亀之助ネタも少し登場。
彼は究極のダメ詩人らしい。今で言うところのニートくんらしい。その亀之助をとことん、何十年も研究していたのが秋元清。
思潮社にいたぴっぽさんが亀之助全集の増補改訂版を担当することになり、秋元さんと一年近く、時には熱く口論しながら、編集にあたったらしい。
テキストを全部消化したわけではないが、面白いエピソード満載で、もっと聞きたいと思った。会場でそのまま、二次会に移行できたのもよかった。
アボカドのアンチョビソースが美味しかった。そして、二次会では何故か、あちこちの一箱の話をしながら、本の話より、各地のうまいもんを語ってもりあがっていた(笑)