荒地の恋

12日は休みです。
荒地の恋」(ねじめ正一)あぁ、面白かった。これも今年のベストに入りそうだ。田村隆一の親友、北村太郎は彼の妻と恋に落ちる話。こう書くと芸能人のワイドショーとどう違うのかといわれそうだが、女性週刊誌や、ワイドショーの何十倍もこの本の方が面白い。

しかもこれ、フィクションというよりは作者の取材などに基づいているらしい。だからこそ、こんなにも面白いのだが。いい年をした詩人(北村)が田村の妻、明子と恋に落ちる。しかも親友の妻とだ。どろどろしてる部分もあるけれど、田村はこういう状況になっても、北村に「遊びにこいよ」と平気で電話をする。さびしがりやなのだ。明子も完全に北村のものになったかと思いきや、田村といた家は自分の家で、他の女に汚されるのはかなわないと戻りたがる。
章ごとに北村の詩が冒頭に掲載されていて、これがまた、続きを示唆しているかのようで、北村の詩や田村の詩を読んでみたいと思うのだ。