訪問者(恩田陸)

こちら雨です、土砂降りです。

今、宿題とか仕事とかデスクワークがたまってる人、締め切りに追われてる人、これ、読んじゃいけません(笑)なぜなら、これを1行読み始めると、もう、続きが気になって、仕事なんかやる気にならないからです。
どうしても気分転換したい人はこれ読むあるね。一気読みすれば1日で読める、面白いからね。
ほんと、ストーリーテラーとして、ぴかいちの作家さんである。なにかすかっとしたい人、むしゃくしゃしてて、何かに没頭したい時にこれ読むとよろし。なんか面白いもんあらへんの?と言われたら、恩田陸である。
これも最初から最後まで飽きさせない、どんな展開にするつもりなんやろとどきどきしながら読める物語で、ほんと上手いなあと唸らされる。
好きな作家って、読みたい本が見つからへん時のお助け本というか、よし、あんたの出番やというとっておきなのだ。いくらでも読まなきゃいけない本はあるんだが、久しぶりに恩田陸を手にとってしまった、そしてもう途中で放置できなかった(笑)
とある家に記者がカメラマンと訪れる。のっけからぐいとひきずりこまれていく。何故だろう。入り込めていくのである。
少し進むとこの記者がぎくりとする場面が来る。これでさらにぐいっと入っていく。語り手はこの記者。この記者がぎくりとさせられ、読者もえ?なんで分かったんやと必死に考えていく。そう、こうなるともう抜け出せないぞ(笑)
複数の事故死が交錯していくこの物語。この事故死自体もそれぞれが謎めいていて、これは本当に事故なのか、殺人事件じゃなかろうかと思いをめぐらせながら、ページは進んでいく。登場人物が一人一人、きちっと描かれていて、しかも終盤にはさらにひと癖もふた癖もあるようなやつがでてきて、混沌は深まっていくのである。ちょっと登場人物が多いから、図を書いておくとこの本、2倍楽しめると思うなり。
この本を読んでいたら作中に「象を撫でる」という映画作品がキーになっていくのだが、全然関係のない「象の背中」というタイトルが頭に浮かんでしまった。
こういう雨で出かけたくない日には最適の物語である。