トットチャンネル


御存じ黒柳徹子の青春時代がぎゅっとたっぷり詰まっているのがこの本。
長寿番組「徹子の部屋」の司会者で、とある歌番組で久米宏らと賑やかに司会をしていたのもこの人。この本は黒柳徹子NHKの専属俳優を募集しますという広告をみたあたりから、テレビの仕事をやりだしたころくらいまでのお話。まだ現役で活躍している黒柳徹子の一生分が描かれているわけではないんだが、もうこれだけでも既に120%面白い。
黒柳徹子の伝記が文庫化されるときははしょらずに、全5巻くらいのぶっとい物語にして頂きたいものである。
黒柳徹子はなんと雑司ヶ谷東京音大出なのだ。いやぁ、おお、雑司ヶ谷ではないかとこの本に俄然、入り込んでいく。
黒柳徹子の天然ぶりが冒頭からエンジン全開で発揮されていく。これはギャグ小説なのかと疑いながら読んでいく。例えば履歴書持参と書いてあったのにNHKに親に内緒で履歴書を送り、通知が来たか来たかと郵便受けを学校を休んでまで偵察するトット・・・そこで一発で不採用にせず、ご持参してねとわざわざ手紙をよこすNHKもおおらかでいいではないか。
その手紙を読んで、どうせ受からないだろうなとちょっと悲観的になるが、それでも今日、この通知を自分が受け取ったのは何かのめぐりあわせだと前向きに考え、二日後に迫った締め切りに間に合わせようとその日に履歴書をもっていくトット。運を引き寄せているんだなきっと。
こんな不思議な強運の持ち主かもしれないトットだが、一次試験に受かって次の筆記試験、いざ出陣とこっちもドキドキしながら読んでたら会場を間違えてるトット・・もはや別の意味で心配な主人公である。
しかも試験中に隣の男性に「教えて頂けませんか」と真剣にきくあたりがもうやばすぎる。よく、退場になりませんでしたね。なんとおおらかな時代であることよ。
こんな調子で書いていたらブログが終わらないではないか(笑)
だがこの発言もぬかすわけにはいくまいて。面接で試験管に「お父さんに相談したの?」と聞かれ、「相談したらこんな、みっともないことしちゃいけないと言われるにきまってる」と、口走ってしまう!そんな天然で素直なトットが合格となる。試験の出来が悪かったトットはあまりにも演劇のことも知らないのが逆に幸いした。
私も自分の声は嫌なのだが、トットNHKで初めて自分の声を録音してもらって、聞かされた時、機械が壊れてますとと言ったそうだ。うん、ここまでは自分はよう言わんけど気持ちはわかると頷きながらもやはりトットの天然ぶりがおかしくてたまらん。
その個性ひっこめてほしいとかぼろくそに言われていたトットだったが、「あなたのそのままがいいんです」とトットに言った飯沢匡
彼の一言がなかったら放送界に残っていなかったかもしれない。