金環蝕

これ、今年のベストに一応いれておこう。新潮文庫石川達三
これを読めば、日本の政治家と土建業者の癒着ぶりがとくとわかります。これが日本の政治家というか政治屋たちです。この本、中学生の課題図書にしたほうがええんとちゃうか?その感想文を官邸に送りつけるとよろし。
こんなのありえねーよと鼻で笑えないとこが悲しいやね・・・どないなっとんねん!というか我々が選んだ国会議員たちはこんなのしかおらんのか?
まぁ、読んでて腹がたちます、カッカしてきます。一気に読みたくなるけど、今日みたいな暑い日はやめといたほうがええかも(笑)
総理大臣官邸には秘書室が4つくらいあって、秘書官もピンからきりまで20人以上らしい。今もそうなのか?って何故にそんなにいるんだべさ。
その秘書官のしたっぱの西尾というのがこの物語でちょこまか使いっぱしりをさせられる。星野官房長官から「目立つなよ」と極秘の命でとある事務所へ。
この物語の中で一番好きなキャラ、石原参吉へ「二億貸して下さい」と。
石原というのは、裏で何をしてるかわからんような奴で闇金融業者。前科4犯で、あらゆる事件の裏を探し回る男。
石原、この頼みを却下する。西尾、迂闊にも自分の名刺を渡してしまう。
舞台かわりまして、電力建設会社。資本金の95%までを政府が出資している国策会社だ。九州のF−川にロックフィルダムを建設するという計画が決定される。
このダム建設の入札に政治献金が絡んでくる。
今の総理大臣の名は寺田という。こいつが総裁選挙の時、対立候補に負けてなるものかと金をばらまく、ばらまく。そうなるとこっちもまけてらんねぇとばかりに札束をばらまく。党内でばらまかれる札束。総裁選挙って国民投票にすべきだよ。
さぁ、寺田君、勝ったはいいが、ばらまいたお金(15〜20億)のうち、早急に返さなければいけないものが何と10億!餓死する子供たちがいるかと思えば、これだよ・・・世界は不公平、不平等であふれているということなのだろうか。
この10億のうち、4億をダム工事を竹田建設にやらせることで、政治献金してちょというのが悪代官たちの筋書き。
そんなこととはつゆしらず、電力建設会社の総裁の財部は、この工事を青山組にやらせたがっていた。彼は竹田建設のずさんなところを嫌っていた。
だが、財部は総裁の任期切れが迫っていたのだった。
自分の任期中になんとか工事までこぎつけたいと頑張るも、おっそろしいとこから圧力がかかる、かかりまくる。
官房長官の圧力だけならまだしも、寺田総理夫人の名刺を西尾秘書官から渡されるのだ。
そう、この物語では名刺がいい活躍をするのだ。
財部にももっと粘ってほしかったのだが、奴も善人とはいいがたし。圧力には勝てず、異例ともいうべき多額の退職金を受け取り、任期切れ直前で退職勧告される。
そして入札で、これまたおかしな現象が起きる。
入札って普通は、一番低い金額のところが勝ち取る。しかし、こいつらは頭が狂っているのだ。まずは電力建設会社が、工事予定額を決めるのだが、竹田建設に4億もの上乗せで
入札させねばならないということで、もう、何もかも多めに、見積もる。そしてローア・リミットといって、入札の最低金額を決めるのだが、なんと48億。
竹田以外の数社も入札したのだが、いずれも40億前後。そう、最低金額に足らないということで、自動的に竹田建設の勝ちが決定。
最後にちょっとだけ波乱が起きる。石原がこの政治献金の裏事情をそれはこと細かく、探っていた。どこのだれそれが、誰とどこの料亭で会っていたとか、料亭の女将などスパイを使って、膨大な資料となっていた。こいつは一波乱起こしてくれるに違いないと思っていたら、そうは甘くなく、逮捕されてしまう。あぁ、あかんわと思っていたら、神谷という国会議員が
決算委員会でこの工事の入札のことで質問したのだ。石原さえも神谷は信用していなかった。そう、こいつは、自分の名を売ることしか考えてないのだ。以前も不正事件を追及しておきながら、最後は賄賂をもらって尻切れトンボ。だから石原も情報を少ししか教えてやらなかったのだ。
この神谷が決算委員会でしつこく質問追求するも、新聞は一切とりあげない。それに失望し、神谷は党から多額の金もらって、結局bフェードダウン・・・あぁ、たわけめ。
というわけで日本の国会議員たちの賄賂の流れを掴む上で大変勉強になる1冊。

今日の1曲(4)渡辺美里サマータイムブルース
http://www.youtube.com/watch?v=PyJCjdHwiPk