桜ほうさら

「桜ほうさら」(上下)宮部みゆき。この人の小説はやはりはずれがないなあ。ちょっと読書する気分じゃなくてもすっと入っていける。止まらないんだよねぇ。物語は読まへんという人でも宮部みゆき伊坂幸太郎東野圭吾、このへんははずれが少ないんで読んでみてほしい。
このお話も宮部さん十八番の時代小説。深川の富勘長屋に住む主人公。
この長屋の人たちが主人公の笙之介同様、味わい深いキャラが多くて、皆好きになりそうな人たちばかり。あぁ、こういうちょっとお節介で世話好きな人とか、いいよなあ。このぎすぎすした平成の時代にちょっと涼しさを与えてくれるのだ。この主人公には性格真逆の兄がおります。父と主人公が似ていて、この兄とちょっとじゃじゃ馬で読者の反感を買う母が性格そっくりなのだ。こういう兄弟いてますよね。父の筆跡と全く同じ書状がでてきた。だが父はこんなもん書いた覚えはまるでない。なのに自分がみてもどうみても自分の書いた字にしかみえない。この事件の後、父は腹を切る。この事件と日常の謎が複雑に主人公に絡まっていく。主人公の仕事が写本というのも本好きにはたまらない。そして主人公が惚れていく女性も個性強くていいなあ。

桜ほうさら

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