ポエカフェへぎそばリターンズ 吉原幸子篇

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前回より文字数が短くなることを願ってと(笑)
前回、参加して下さったJ氏のお話しが余りに面白くて、ついもう一回!とねだったらあっという間にリターンズ開催となりました。そして今回もまたJ氏が参加してくださるというこの幸運。

喫茶伯剌西爾の小部屋にぎゅっと13名が駆け付け、プレイボール。じゃ一人、1分くらいでとさくっと始まった筈の自己紹介。単純に計算しても15分あれば終わる筈がなんと1時間・・・ま、たまにある、うん、よくある・・・
年表は前回のを参照して頂くとして一つだけ、J氏から訂正が入りました。
1965年第4回室生犀星賞を受賞されますが、これは第1詩集「幼年連祷」で受賞で第1、第2詩集のセットではないということです。

前回同様、J氏がもう、これだけで展示ができますよ!と興奮するような写真、資料を見せてくださる。その中の写真の1枚をこれは奇跡の1枚ですとご紹介してくださったのが面白かった。A4サイズにひきのばされた吉原幸子の写真がもう、かわいいのやら、かっこいいのやらでどれも興味深く拝見。
昔のモノクロ写真も味わいがあっていいですねぇ。
劇団四季の第6回公演の資料も持参してくださっていた。天本英世さんには小さい頃、抱っこされたらしい。J氏、初対面の人によく言われてたのが「君のお母さんの若い頃はね・・・」と言われると大概、ろくな話ではなかったというから会場は笑いに包まれる。酒好きの吉原幸子、酒ネタには事欠かなかったんでしょうね。
原幸子と結婚した松江陽一の困ったネタも披露してくださる。飛行機にのると必ずスチュワーデスをくどいていたらしい・・・お父さん、息子さんがみてます!ちゃんとばれてます!
更に面白い暴露話は続く。雑誌「財界」に勤務して活字の号数と麻雀を覚えたとあるが、家族麻雀をしていたぜと衝撃の発言が!ちなみに息子さんも麻雀できるそうな。
もっともっとお話しを伺いたかったが、朗読もせなあかんということで詩に行きますよ。
前回とちょっと詩を入れかえてテキストを作成してくださったので、前回とは違う詩も朗読されてよかった。

「幼年連祷」「醞憧れ」で
てのひらにくねる とあるんだけど、こねるではないんだね。

第1詩集「幼年連祷」では「Ⅳ 空襲」がやはり一番、突き刺さる。
会場でも様々な意見が飛び交う。
この詩の色を駆使しての美しさの表現。戦争をテーマにしておきながら、それでも美しいと感じたものを誠実に表現している。

第2詩集「夏の墓」からまずは「雨」
一行目のライオン、2行目のゲンゴロウムシは何を例えているのか。
この詩は他の詩よりも難しいと思った。でもこういうのを考えるのが、議論するのが面白いのだ。
あなたなら、ライオンは何でゲンゴロウムシは何やと思いますか。

私が朗読した「パンの話」は動画があるらしいぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=mrJ7puVcQ3Q

こういう詩が教科書に載っているっていいよなあ。
この動画を見る前に友達とでもいいからこの詩について話し合ってほしいなあ。

「発光」という詩も面白い。
1行目(傷口は光るー新技術事業団が解明)
これ、1990年5月1日の朝日新聞の切り抜きから書いたらしい。
最初は「傷口」という題にしていたらしいが何度も書き直したとのこと。

J氏が最後の「落雷」を朗読してくださる。J氏、詩は全然書かないとのことだが、朗読には引き込まれる独特の力をもっていらっしゃる。
この詩は生前、最後に発表されたものだが、これも「孤独」→「消化」
→「落雷」とタイトルが変わったらしい。

J氏が仰るには詐欺の電話がかかってきたことがあるという。誰だーそんなことするやつは!と聞いていたら、その広告代理店をかたる不届きな人は図書館で吉原幸子の詩集を読んで、感動したからなんとかと言って、新聞に載せませんかと言うらしい。ま、そこまではいいとしよう。次だよ、問題は!載せるのだから掲載料をくれませんかと・・・詩人の皆様、この手の電話にはご注意くださいまし。数年後には一巡したのか、またかかってきたらしい。もう、警察につきだしていいと拙者は思いまする。

終わってみればなんと3時間!始まりと同時に腹の虫がなっていた私のお腹はもうぺこぺこを通り越してぐだぐだとなっていたのは言うまでもない。
時間のある人たちで蕎麦屋に行って、J氏から貴重な吉原幸子宛の葉書がぎっしり入っているポストカードアルバムを見せて頂きながら、へぎそばで締めくくる。もう、錚々たるメンバーなのだ。草野心平吉行理恵大岡信石原吉郎石垣りんなどなど。一番印象的な字だったのが吉行理恵。はみでるような元気な字でいいな、この人の字。