北原白秋篇 ポエカフェ

第一期から参加してる人っていいなあと思っていたが、遂にリターンズで北原白秋だぁ。これからもたまにでいいので、リターンズを是非ともやって頂きたい。そしてポエカフェ制覇したいな。
古書ますく堂よりあやしい(笑)ちめんかのやで行われた北原白秋篇。
北原白秋で何を思い浮かべるだろう・・・名前しか知らないぞ・・・やばい・・・少しぐらい予習しましょう、ますく堂。
名前しか知らなくても堂々と(おい)参加できるこのポエカフェという場が素晴らしい。
うぉっ、折角頂いた貴重な年譜の資料を今、破いてしまった・・・
白秋は明治18年生まれ(1885)この人、九州男児なのだ。福岡県生まれの本名は隆吉で、なんでトンカ・ジョンって呼ばれるねん。良家の長男はトンカ・ジョンらしい。神戸の古本屋にトンカさんておるねんけど(笑)
トンカジョンは頭はいいらしかったが、学校と対立したりして、落第し、15歳で文学の道へ歩むことを決意する。
松田聖子も確か、親が猛反対してなかったっけ?白秋の場合、父が猛反対するも弟や母が後押しをする。中学を卒業間近で退学し、上京。17歳の頃から、早くも頭角を現すのだ。
そして、重要人物がでてくる。上田敏が明治38年「海潮音」訳詩集を出版。テストで言うならここ、アンダーラインです。ちなみに私は当日、筆記用具さえも忘れて、全く、情けないポエカフェ生徒でした(笑)
翌年、与謝野鉄幹にほいほいとついていき、新詩社に入る。
「明星」に抒情詩を発表。先程の重要人物、敏ちゃんや蒲原有明薄田泣菫らにも名前が知られていくのだ。古本界でいえば誰だろう。岡崎さんとかだな、うん。
さらに次の年の22歳の時には森鴎外の歌会に招かれる。歌会・・・ううむ、見てみたい。茂吉、啄木らともお近づきになり、白秋株はぐいぐい伸びていく。
学生の頃から、ちょっとリーダー格だったんだろうなこのお坊ちゃん。明星で対立して、新詩社とたもとをわかち、画家の山本鼎らと「パンの会」を設立。この名前の由来は何だろう。
明治42年、第1詩集「邪宗門」で詩歌壇に衝撃と賞賛の嵐を巻き起こす。が年末に実家が破産って・・・ありえんやろ。白秋の創作意欲はとどまることを知らず、明治44年の「思ひ出」が上田の敏さんに激賞される。
詩作は絶好調なのに大正元年の1912年、とぉんでもない事件が起きる。上京の家族と浅草に同居したはいいが、近隣の奥様、松下俊子と恋に落ちる。これ、ただの不倫ではない。俊子はんが夫から暴力をうけていたのだ。こういういきさつがあったが、俊子の夫から告訴され、二週間牢屋へ。この時代、こんなスキャンダラスなことするとはと、文壇内外からやいのやいの叩かれ、白秋は深いダメージを受ける。
このへんのエピソードって本になってたら、読みたいな。
こんな大変な思いして、俊子と結婚したものの、一年後には離婚。俊子はんは派手好きで、貧乏生活に耐えられんかったらしい。その次に結婚した江口章子とも4年くらいで離婚。ところが家族は白秋を陰ながらバックアップしているのがなんともいい。弟ことチンカ・ジョンこと鉄雄君は(弟もこのあだ名が好きだったのだろうか)出版社アルスを創立。以後、白秋はここから何冊も本を出している。
そして妹の家子はあの、画家山本鼎と結婚。この漢字の難しい御仁は、キリンビールのあのラベルの人なのだ。
白秋の年譜を勉強するだけでも萩原朔太郎が出てきたりと、まことに近代詩は奥が深い。誰と誰が友人で、というつながりがわかるとまた楽しさも倍増だ。
大正7年頃より、鈴木三重吉「赤い鳥」の童謡面を担当。白秋って次から次へと大物と仕事していくのがすごい。
57歳で死ぬが最後は阿佐ヶ谷なんだねぇ、この人。阿佐ヶ谷といえばコンコ
大正10年「落葉松」を発表し、今度こそはと佐藤キクと結婚。この人が人柄が一番良かったようで家庭生活も安定する。昭和13年には視力を失う。がへこたれる白秋ではない。口述筆記でさらに創作は続くのだ。誰が筆記したのかな。奥さんかな、それとも手下??
邪宗門」の冒頭に「父上に献ぐ」とあるが、この文章がいいねぇ。私みたいな親不孝者は決して「もはやもはや咎め給はざるべし」なんて言わないが(笑)
反対されていても認めてほしかったんだろうね。最後には認めてあげてたと思いたい。
さぁ、ぴっぽさん特製のおみくじ詩からちょこっと拾ってと。
「硝子切るひと」の中の
つと引きつ、切りつ、忘れつ   なんともきれいな表現だなあ。
酒屋の息子らしく、アブサンもでてくる(こんな漢字よめません、変換できまへん)
3歳くらいから「邪宗門秘曲」を覚えさせようという話がでていた。3歳児をお持ちのおかあさん、これ覚えさせたら、末は大物、モテること間違いなしです(笑)

「薔薇二曲」も短いけどパンチがきいていて、うならされる。
ガラスの仮面ファンとしては紫といいたいが、白秋がみてた薔薇は何色だったのだろう。

照リ極マレバ木ヨリコボルル  照りだよ!この表現がすごい。

詩集「海豹と雲」の中の「噛む」もまたいい。
犬は噛む
月かげを噛む   とくるんだからなあ。ちょっと狼のような勇敢な犬を連想してしまう。
白秋の表現で一番面白いのはSORIーBATTEN(そりばってん)でしょう。九州の人って「ばってん」って言わないかなあ。どうなんだろう。
そりばってんとはしかしながらという意味らしいが、まるでロックだ。
白秋は詩集26冊、歌集15冊、童謡集32冊などなど、多作多作力作の人なので、ぼちぼち、本をみつけて読んでみたいと思う。