ポエカフェ秩父編

ポエカフェの秩父開催は今年で3回目である。今年が一番天気に恵まれ、絶好の紅葉日和。参加者も過去最多なのである。
13時秩父駅集合にて、まずはポエトリーカフェ武甲書店へ。
ここから武甲書店の坂本さんを先頭にハイキングスタートである。
市役所の隣の鳥居、そう毎年ここから始まるのだ。でも今年は私の予想をあっさり裏切り、今までと違うコースのハイキングとなり、毎年行ってる人も初参加の人も堪能できるコースであった。ううむ流石である。
だが今年も紅葉男子の活躍の場はきちんと用意されていた。昨年同様、牧水の滝のあたりで写真撮影の餌食(笑)となった某青年が誰であろうかはもう皆さんお分かりでありましょう(笑)
毎年みているけどやっぱり今年もみたいと思っていた織物工場の三角屋根。採光のための三角屋根。あぁ、今年も秩父にこれたよとちょっぴり挨拶したくなるあの屋根。
羊山公園の芝桜は有名らしいのだが、なんとこの時期にも見られる冬桜(十月桜)がふれあい牧場の付近に咲いていて、紅葉の赤、黄色、そして桜の白と三色の景色を楽しむことができた。
ふれあい牧場には来年の干支である羊がいた。足が黒い靴下をはいているかのような羊やちょっと大きめの羊などがいて、時々めぇーーと鳴いてくつろいでいるポエカフェ軍団をびくりとさせていた。
秩父に来たならこの旅館などがいいとおすすめされた「比与志」「田舎家」のそばを通りながら山をおりて武甲書店へ戻る。
少しの間、自由行動を楽しんだ後はいよいよポエカフェ本編である。
本日のテーマは風。そして宮沢賢治の「風の又三郎」が課題図書。
風の又三郎」読んではきたのだが、どうもこれ、難しいのだ。「注文の多い料理店」の方が個人的には好きでそれは、この又三郎がつかめんというか、そんなにはやしたてるほどの名作なのかいと思ってしまうとこにある。まだまだ読み込めていないせいであろう、この物語の面白さを十分には感じ取れていないせいだと思う。
どっどどどどうどと風の凄まじい音から始まるこのお話。高田三郎なる赤毛の子供が転入してきた小さな学校でのお話。いきなり人の席にちょこんと座っていた三郎。そんな風変わりな三郎をいじめるでもなく、この学校の児童たちは受け入れ一緒に遊ぶのだ。そしてある日突然、父親の仕事の都合で三郎は風のようにきて風のように去っていく。
異質なものを排除しようとする学校社会においてこの物語は警告しているのかもしれない。転入初日はどんだけ緊張するだろう。そう考えるととりあえず座るしかないのかもしれないなんて思ってしまう。
風の又三郎」の冒頭をくじびきで当たった人がリレー朗読。
読後感を言い合い、お次は風の詩特集。
余りに短くてインパクトがあったのが八木重吉「沼と風」

おもたい沼ですよ
しづかなかぜですよ

このたった2行の詩。4行になっている版もあるとのこと。
おもたいに深ーい意味がこめられているような気がして
おもたい おもたいと二回繰り返して朗読したくなる。
次の行もしづかな しづかなとゆっくり唱えたくなる。
見たままを書いているようで、これだけ短いとはかりしれないほどの
意味をたっぷりと含ませているような気がして、うかつに読めない重さが
ここにはある。それにしてもそれだけの意味をこめて2行にそぎ落とせるだろうか。ここまでそぎ落とせるだけですごい。
キリストでは風は精霊を意味するらしい。

つい最近、ポエカフェに登場し種田山頭火のあれもでました

風ふいて一文もない

風吹かずともわが店にはお金なしと答えたくなるような(笑)これまた強烈で忘れがたい俳句

与謝野晶子の詩もすごい。「岬」で最後の行に

春のかぜ我にあつまる。

風が我にあつまるなんて言えるのは与謝野晶子くらいでしょうと会場も溜息(笑)

楽しい風の詩の授業のあとはお待ちかねのばいきんぐ!ハイキングしてたっぷりおなかすかせてのバイキングですからね、あっという間になくなっていきます。太白芋のチェーなんて初めて食べたけどもう絶品のデザート。お芋がこんなになめらかなスープみたいなでもしっかりと甘みのあるデザートになるなんて。
舌がなぜかできものばかりに占領されていて、固形物が食べづらい今の私にとってすいとんのようなあれが一番体内にしみわたりおいしゅうございました。